Last Update:2018/05/01
科研費をご存知でしょうか。正式名称は,科学研究費助成事業といいます。日本学術振興会が資金提供する日本で最もメジャーな競争的研究資金です。大学で働いていれば,どこかで一度は耳にしたことがあるのではないはでしょうか。この科研費ですが,大学教員や研究者だけのものでありません。館種を問わず図書館員も応募することができ,そして採択されれば,年間数十万円からの研究費を獲得することができるのです。
でも,何を研究していいのかわからない? 研究がきちんと進められるか不安? 成果が出なかったらどうする? 研究終了後は報告書を書かなくちゃいけない? いいえ,全く不安になることはありません。日頃の業務の中で「こうなるのはなぜだろう」というちょっとした疑問(=何かを知りたいと思う気持ち)が研究アイデアの出発点なのです。そして,研究とは未知の領域の開拓ですから,成功することもあれば,失敗することも当然ながらあります。また,当初の計画通りに進まないことだってもちろんあるのです。そしてこれらをすべて想定した上で,科研費制度は成り立っています。だから研究期間終了後,たとえ良い成果を得られなかったからといって,使用した研究費を返還しなさい,ということにはなりません。研究終了後に提出するの実績報告書だって,現在では(科研費の種目にもよりますが)A4で1枚も書けば,それで済んでしまうのです。
どうでしょうか。せっかくの良い研究アイデアが陽の目を見ずに埋もれてしまっては,非常にもったいないと思います。そして日頃の疑問をすっきり晴らすことができたならば,その結果は大勢の図書館員の疑問をも解決することにつながるかも知れません。また,そこから新たな知見に発展することも十分に考えられるのです。図書館員一人ひとりが研究者であるという意識を持ち,図書館情報学分野の研究がより一層活性化することで,図書館界全体のサービス向上,個々の図書館員のスキルアップ,さらには図書館員という職業の地位向上にもつながります。どのような疑問でもいいのです。まずは一歩「科研費に応募して疑問を解決してみよう」という気持ちを持つことから,始めてみませんか? そこからすべてが始まります。
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